2018 Excellent Paper Award 受賞のお知らせ
銀座医院 竹田義彦院長、久保明院長補佐らの糖化が肺疾患に影響するという治験に関する論文が2018 Excellent Paper Award を受賞いたしました。今後も銀座医院での取り組みとして研究・発表を推進いたします。
Journal of Physical Therapy Science 2018 Excellent Paper Award(最優秀論文賞)を受賞した論文について
Journal of Physical Therapy Science に掲載された、銀座医院からの研究論文が2018年のExcellent Paper Award(最優秀論文賞)を受賞しました。銀座医院は臨床のみならず、研究の分野においても新たな検査、治療の開発に貢献し、皆様の健康を守るためさらなる努力を続けております。
この論文のタイトルは、”Relationship between advanced glycation end-product accumulation in the skin and pulmonary function” で、糖化ストレスと閉塞性肺疾患の進展とが関連する可能性を示した研究論文です。以下に研究の概要を日本語で記載しましたが、要約すると、肺機能検査では明らかな異常を認めない、65歳以上の受診者において、糖化ストレスの度合いと1秒率(始めの1秒で吐き出せる空気の量と全体の肺活量との割合)とは反比例するということが明らかになりました。すなわち、糖化が進んでいる人は一秒間に吐き出せる空気の量が少なくなっているということです。
糖化はタンパクなどの物質に糖がくっついてしまう現象で、老化と強く関係していることが、多くの研究で明らかにされています。今回我々は、閉塞性肺疾患の進展にも糖化が関係している可能性を示しました。
銀座医院では糖化度を皮膚自己蛍光を測定する装置を用いて評価しており、健診のオプションとして施行しております。
”Relationship between advanced glycation end-product accumulation in the skin and pulmonary function” の概要
閉塞性肺疾患(COPD)有病率は、大規模な疫学調査研究(2001年発表のNICEスタディ)の結果では日本人の40歳以上の8.6%、患者数は530万人と推定された。COPDの早期の発見と予防は健康年齢の延長に貢献するものと考えられる。AGE(最終糖化産物)受容体(RAGE)は肺胞上皮細胞などに高率に発現しており、RAGEを介した炎症シグナルがCOPDの病態の悪化を促進する重要な要素である可能性がある。我々は予防医学の見地から、肺機能検査にまだ異常が見られない群を対象として、肺機能検査の結果とSAF(皮膚自己蛍光値)で評価したAGE蓄積とに関連があるかを検討した。年齢に従い、肺機能は低下し、AGEは増加する傾向が認めることを考慮して、対照群を65歳未満と65歳以上の二群に分類し検討した。65歳未満の若年群ではAGE蓄積と肺機能の間には相関を見なかったが、65歳以上の群ではAGE蓄積量と1秒率(1秒量FEV1/努力肺活量FVC)との間に有意な負の相関が見出された(r=-0.446)。さらに、喫煙量と1秒率の間にも負の相関が認められた(r=-0.548)9)。AGEがいかにCOPDの発症、増悪に関与しているかの機序については今後の研究が必要であるが、高齢者では肺機能に異常のない早期よりAGE蓄積が肺機能の低下と関連しており、AGE蓄積が今後のCOPD発症の予測因子となりうるかもしれないことを示唆している。
Kubo, A., Kato, M., Sugioka, Y., Mitsui, R., Fukuhara, N., Nihei, F., Takeda, Y. Relationship between advanced glycation end-product accumulation in the skin and pulmonary function. J Phys Ther Sci. 30,413-418,2018.
医師紹介
銀座医院 院長
竹田義彦
・1978年慶応義塾大学卒業
・1985年米国に移り研究及び臨床経験で実績を積む
・2011年銀座医院医院長に就任
・日本人間ドック学会 認定医
・日本キレーション治療 認定医
・日本医師会 認定産業医
銀座医院 院長補佐
久保明
・1979年慶応義塾大学卒業
・日本内科学会認定内科専門医
・日本糖尿病学会認定糖尿病専門医
・日本医師会認定スポーツドクター
・日本内分泌学会認定内分泌専門医